院長ブログ

2021.06.15更新

 市民への新型コロナワクチン接種が始まり、ほぼ1か月が経ちました。ワクチン後の副反応は前回のブログでお伝えした通り、高齢者でも先行接種した我々医療者と同様のようです。過剰報道の影響か、巷では解熱剤のアセトアミノフェン含有薬が入手困難となっていますが、ワクチンを打ったら一安心、新型コロナの問題はこれで終わり、というわけではありません。

 先日、千葉大学病院が、ファイザー社製ワクチンを2回打った医療関係者1700人余りの抗体量測定結果を報告しました。これによると、20歳台の女性に比べて60歳台の男女の抗体量は約半分で、年齢が上がるほど抗体量は減少し、女性に比べて男性の方が少なかったそうです。また、新型コロナに感染した人がワクチンを打つと抗体量はグンと増える一方、リウマチなど免疫抑制剤を使用している方はワクチンによる抗体量の増加は僅かでした。なお、毎日飲酒する方は、飲まない方に比べて抗体増加量が少ないと報告されました。今後、どの程度の抗体量があると新型コロナを予防できるのか、またワクチンの効果はどの程度持続するのか、これによって私たちのワクチンに対する心構えが変わると思います。

 一方、海外ではワクチン接種後の若い男性で心筋炎が発症するとの報告があります。アメリカやイスラエルでは、頻度は少ないもののファイザー社製ワクチンを2回打った10代から20代の若い男性で心筋炎が発症するようです。多くは数日の入院で済み、大半は軽症で済んでいるようですが、心筋炎や心膜炎は重篤な後遺症を残すこともあります。今後若年者への接種が進んで行きますが、ワクチンに対する不安材料は少ない方がいいに決まっています。現在各国で因果関係について調査中です。

 さて、コロナワクチンの変異株に対する効果について、先月横浜市立大学から発表がありました。ファイザー社製ワクチンを2回接種した医療従事者100名余りを対象に、体の中で作られた抗体が、新型コロナウィルスの感染力を失わせることができるかどうかを調べました。この結果、従来株に対しては99%の人が十分な抗体が作られていました。また、変異株に対しても、英国由来株94%、南アフリカ由来90%、ブラジル94%、インド97%、米カリフォルニア97%の結果でした。つまり、2回ワクチンを接種すると、現在知られている7種類の変異株すべてに対して、9割以上の人が変異株を無力化できる抗体が作られた、ということです。ただし、今回の実験は培養細胞を使ったものであり、実際の感染を予防できるかどうかは今後の評価を待つ必要があります。

 (鎌倉市新型コロナワクチン接種会場 上から鎌倉武道館、三菱大船体育館、鶴岡八幡宮研修道場の様子)

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投稿者: 大船 睡眠・糖尿病内科

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