院長ブログ

2019.07.10更新

小雨が降る6月の日曜日に、横浜市スポーツ医科学センターで「がんロコモ」を考える、という講演を拝聴してきました。演者は帝京大学医学部整形外科の河野教授です。河野教授は整形外科医でありながら、癌治療学会にも所属している稀有な先生です。これまではがんに罹患すると、我々医療側も患者側も、がん=闘病ととらえ、仕事よりも何よりもまずはがんと闘い、がん治療が何よりも優先されると考えてきました。骨転移などあればじっと動かず、終日ベッドに横になり天井を見つめて安静に過ごすものとされてきました(オーバーな表現で申し訳ありません)。しかし、新規がん患者は年間約100万人、出生数とほぼ同数あり、しかも治療の進歩や新薬開発などもあり、がんに罹患してからの生存日数はどんどん延びています。骨転移が見つかったら、もうおしまいというわけではありません。つまり、今やがんは戦うものではなく、共生するものという考え方に変わってきたのです。終日ベットに横になっていたら筋力は1日2%のペースで低下します。手足や骨や関節の状態が悪いけれど、何よりもまずがんの治療を優先ということで運動器の治療を先延ばしにしていたら、もっとダメになって動けなくなってしまう。予後が悪いがんだからといって放っておいたら、ますます動けなくなる。がんだから運動してはいけません、ベットでじっとしていてくださいという時代ではないのだ、と仰るのです。先生は、がんに罹患しても手術をしてもっと元気に動けるようになる可能性があるなら積極的に考えましょう、というスタイルです。大学トップの教授がこのような考えを持っていらっしゃることに正直びっくりしました。当院にもがんと共生している糖尿病の方がたくさんお出でです。糖尿病を改善して、少しでもがん治療の効果が上がったらと考えて通院して下さる方が大勢いらっしゃいます。かつて小生もがん患者の一人で長い闘病を経験しましたが、これからの当院の診療を考えるうえで非常に参考になった講演会でした。河野教授、ありがとうございました。Yokohama Studium

投稿者: 大船 睡眠・糖尿病内科

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